霊感体質かと思ったら、ただの相貌失認だったというお話
AOPWELL 顕微鏡80X-1600X - 学生用単眼顕微鏡 (顕微鏡1600x)
ソボが子供のころ「何もない空中をじっと見つめる」という光景を何度か見かけたことがあります。
「何か見えるの?」
ある日、不思議に思った私はソボに尋ねます。
「うん。見えるよ。」
「何が見えるの?」
「・・・わからない。」
光が差し込んでいる窓の方をじっと見つめたまま、へヘヘと笑って楽しそうに左右に目を動かしています。
もしかしたらこの子は、人の目に見えないもの(オバケ?)が見えるのかもしれない、と思いました。
ひょっとしたらご先祖さまかもしれない。
当時、久しぶりに※「ムーラン」という映画を見たばかりの私はそう思いました。
※ムーラン ⇒ ディズニーアニメ映画。ご先祖さまや一族の守り神であるドラゴンが、ヒロインであるムーランと珍道中を繰り広げるお話
またある時は、木の葉っぱをジーッと見つめながらずっと立ち止まっています。
きっとこの子は霊感体質なんだ。この子には不思議な力があるのかもしれない。この子にはきっと、木の妖精が見えているのだろう。
当時ハリーポッターを愛読し、魔法ワールドにすっかりハマっていた私は、すぐさまそう思いました。
しかしそれから約10年後、ソボが矯正メガネをかけるようになってから数年経過したときのことです。
夕食時に、その時の話が話題に上りました。
「そういえば昔よく、空中を見ていたけど一体何を見ていたの?」
オバケや妖精だよ、という返事を期待度しながら私は尋ねました。
ついに霊感少女として認定される日がくるのかも??(笑)
するとソボはニヤニヤして答えました。
「あ~!あれね、あれは・・・ホコリだよ。」
ホコリ???
「空中に舞っているホコリの動きがおもしろくて、ずっと見てたんだよ。光に当たってキレイなんだよねぇ。他にも葉っぱの葉脈や地面のアリンコ、髪の毛の断面、印刷物の文字のインクの染み具合、天井の模様なんかが面白くてよく見てたよなぁ~。細部を見て過ごすのが好きだったなぁ~。」
葉っぱの葉脈??
髪の毛の断面??
何だそれ??
あ~!ナルホドナルホド。
相貌失認の人は、注目した部分がインパクトを伴って拡大されて見えるため、常に望遠鏡や顕微鏡で覗いているような状態なのです。
そういえば誕生日に顕微鏡を欲しがっていたなぁ。
ソボにはいろんなものの細部が、きれいな模様となって見えていたのです。
ソボが見ていたのはオバケや妖精ではなく、現実的なものだったのですね。
現実に存在するものを、ただひたすら観察していただけだったのですね。
なーんだ、そうだったんだ。
映画やファンタジーに触発され、ソボが霊感体質(あるいは超能力者)にちがいないと思い込んでいた私は、自分で自分が恥ずかしくなりました。
私の方が子供か!
つい自分にツッコミを入れてしまいました。
もしあなたの周囲で空中をじっと見つめる人がいたとしたら、もしかしたらその人は(自分では気づいていないけど)相貌失認かもしれませんね。
ご精読ありがとうございました。