相貌失認がんばり隊

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相貌失認のハニワは前代未聞

相貌失認のソボが小学3年生のとき、家族で埼玉県行田市にある「さきたま古墳公園」を訪れたことがあります。

名前の通り古墳で有名なのはもちろんですが、そこには「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん、きんしゃくめいてっけん)」という有名な国宝が展示されている博物館があります。社会の教科書にも載っているので、それを見に行こうということになりました。

その上、「勾玉作り」や「埴輪作り」体験もできるため、歩く・見る・体験するの3拍子がそろった魅力的な公園です。

広大な敷地に広がる自然も豊かで、春には桜、夏には古代ハスが咲き乱れます。
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初めてそこを訪れた記念に、みんなで「埴輪作り体験」をすることにしました。

制作時間は1~2時間ほどです。
はにわが完成するまでの手順は、以下の通りになります。

はにわが完成するまで

  1. 当日、はにわの館で…
    はにわづくり(1時間30分〜2時間)を目安に
  1. 約1ケ月ほど、作品の乾燥
  2. その後、館内での窯にて約800度で7時間ほどかけて焼き上げ、完成!

完成したはにわのお引き取りについて、後日に再度ご来館いただく、または、着払い配送(箱代のみ当日お預かり)にて対応させていただきますので、係員にお申し付けください。

行田市はにわの館 ホームページ

 https://www.ikiiki-zaidan.or.jp/haniwa/  

 
ところで普通、埴輪といえば、このようなイメージではありませんか?
少しとぼけたよう表情で、ホンワカした雰囲気があります。全体的に丸みがあります。

製作現場の机の上には、実際にこのようなお手本の埴輪が数体置いてありました。

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ですが、ソボは相貌失認です。

いつもながら、注目した部分だけがインパクトを伴って、拡大して見えます


そして見えた各断片を思い出しながら、頭の中でそれらを合成し、埴輪の全体図を想像しながら作ります

恐らくソボには、お手本埴輪の目や口などの各パーツが、強調されて見えたにちがいありません。

「えー?あれー?どうしちゃったの?あららー?」

製作を始めてから1時間後、埴輪作りの担当者の方が、ソボの埴輪を見て悲鳴をあげました。

それもそのはずです。
ソボの作った埴輪は、おとぼけとは程遠い強烈な表情をしていました。
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 ソボの埴輪には、ツノや耳が生えていました。
(お手本にはないぞ?想像でつけたのかな?)

口はガバッと大きく開き、まさに阿鼻叫喚の表情をしていました。
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おまけに体はグニャッと後ろへ曲がっており、今で言うと「イナバウアー」をしているようですが、埴輪がやると「ホラー」ですね。(笑)

何かを嘆いて訴えかけているように見えます。

これにはヤマトタケルもびっくりすると思います。おおー!!

「何十年もここに勤めているけど、こんなの見たことないわっ。あなたタダモノではないわね!名作よ!」

担当者の方は、驚愕と感嘆の入り混じった表情で、早口でおっしゃいました。

ソボは照れくさそうにして、小さな声でお礼を言いました。

ですが、本当の正体を明かしますと、ソボは「タダモノ」でした。

相貌失認モードで見えた通りに埴輪を作っただけなのですが、事情をご存知ない担当者の方は、さぞかし度肝を抜かれたことでしょうね。

前代未聞の名作??と言われたソボの埴輪は、長い間玄関に飾られていましたが、やがてホコリまみれになり、いつしか段ボールに入れられて、和室の天袋の中に片付けられてしまいました。

今でもあの埴輪を思い出すたびに、担当者の方の悲鳴と驚愕の表情が偲ばれ、くっく、くっくと一人で思い出し笑いをしてしまうのです。

ずっと天袋にいるのも可哀そうだから、時々は出してやって、眺めてあげようかな。

阿鼻叫喚の埴輪に愛着を感じるのは、やはり私が年をとってしまったからなのでしょうか?


ご精読ありがとうございました。

尚、相貌失認の見え方にご興味がある方は、こちらの過去記事をご覧ください。